サラリーマン薬剤師です。
今回はラクチュロースというオリゴ糖が乳酸菌やビフィズス菌に並ぶ整腸作用をもつという話をしたいと思います。乳酸菌やビフィズス菌の影に隠れているラクチュロースですが、実は便秘に使用する医薬品としても承認が通っている成分なのです!
現時点でラクチュロースを意識的に摂取する人は少ないと思います。ですが、ラクチュロースの摂取は便秘の改善だけでなく、腸内の善玉菌のエサとなり腸内フローラを整える働きも期待することができます!
そこで本日は
・ラクチュロースの歴史
・ラクチュロースの腸内での働き
・ラクチュロースが含まれる製品・食品
の3つに焦点を当て、説明したいと思います。
ラクチュロースの歴史
【ラクチュロースの構造式】
引用元:森永乳業のラクチュロース研究
ラクチュロースは乳糖という牛乳に含まれる糖分を原料として作られるオリゴ糖です。オリゴ糖についての解説は以前プレバイオティクスについて書いた記事で説明をしましたので興味のある方はご覧になって下さい!
【腸内環境】プレバイオティクスとは?プロバイオティクスとの違いは?
ラクチュロースの歴史は古く、今から100年以上前にはすでに存在がわかっていました。
発見後さまざまな研究がされ、ラクチュロースなどが含まれる母乳で育った赤ちゃんは善玉菌の数が多く体が強くなること。赤ちゃんだけでなく大人の腸内の善玉菌を増やし便秘を改善することもわかってきました。現在はラクチュロースの粉末化にも成功しており、さまざまな製品に添加できるようになりました!
そのあたりの詳しい歴史が知りたい方は是非森永乳業のラクチュロース研究ページをご覧ください!
そして、ラクチュロースの気になる特徴ですが、さまざまある中で個人的に抑えて欲しい部分をまとめます。
・さわやかな甘みがあるカロリーは砂糖の半分。
・酸に強く、胃酸で分解されない
・熱に強く、温かい飲み物への添加も可能
・小腸で吸収されず、腸内細菌のある大腸まで届く
「人には分解できず、乳酸菌やビフィズス菌が分解できる」という点がとても重要ですね!
ラクチュロースの働き
腸内細菌叢の改善
引用元:Mizota et.al.Milchwissenschaft Vol.57(2002)
上記グラフはラクチュロース4g/日摂取した時の腸内細菌叢の改善を示すものです。真っ黒の部分がビフィズス菌の量を示していますが、摂取中だけ増えていることがわかると思います。このようにラクチュロースはビフィズス菌などのエサとなり腸内で増やす働きを持っています。また、相対的に悪玉菌を減らすこともできます。
腸内腐敗産物の減少
引用元:Mizota et.al.Milchwissenschaft Vol.57(2002)
悪玉菌が減るということは悪玉菌が出す腐敗物質も減少します。ラクツロースの働きで増えた善玉菌が酢酸や酪酸などの有機酸を作り出し、腸内が酸性に傾くことで減るとも言い換えられますね!
大腸内浸透圧上昇
大腸内の浸透圧が上がると、便の水分量が増え便秘が解消されます。これはラクチュロースを人が分解できないことが大きく影響しています。
分解できない→大腸内が濃い状態になる→体内の水分が大腸内の濃度を薄くするため腸管内へ移動
ということが体の中で起きる結果、便秘が改善されていきます!!他に浸透圧をあげて便秘を改善する成分として「マグネシウム」が挙げられます医薬品としては酸化マグネシウムが有名ですね。マグネシウムに関してはビフィズス菌や乳酸菌のエサとなる働きはありませんので、腸内環境的にはラクチュロースが良いかな?と個人的には思います!!
まとめ
今回はラクチュロースの解説を行いました。乳酸菌、ビフィズス菌の方に注目が集まりがちですが、腸内環境整備においてはラクチュロースも同じくらい重要だと勉強していて思います。便秘がちで肉中心の食事が多いかたには特におすすめしたいので今回記事を参考にしてほしいな!!